見直されている「木造在来工法住宅」

木造在来工法住宅(以下、在来工法住宅)の原型は、3世紀から4世紀にかけて建立された出雲大社・伊勢神宮の時代までさかのぼります。歴史に残されているものだけを見ても、1900年~2000年の長い歴史をもつ日本古来の伝統工法の技術を受け継いだものです。
 現在する世界最古の木造建築物として法隆寺があります。法隆寺は607年、聖徳太子が創建したものといわれていますが、それから数えても1400年余の風雪にみごとに耐え抜いているということになります。
 これらの古代建築物はすべて日本古来の伝統工法である「柱・梁(はり)構造」を基軸としており、いま地域の匠たちの手によって建てられている在来工法住宅は、その長い歴史の中で培われた伝統工法に、さらに現代性を加味して継承されているすぐれた工法なのです。
 在来工法住宅は、わが国で産出される最高の住宅建築資材である木材を用い、それぞれの地域の気候、風土、生活文化の中で長い年月をかけて育まれてきた優れた住まいです。
 いま、鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)・2×4(ツーバイフォー)などさまざまな住宅が出て来ていますが、このどれをとってもわが国では70年足らずのわずかな歴史しかありません。
 はたしてそれに私たちのかけがえのない生命、財産を安心して託すことができるでしょうか。
 それよりも、わが国独特の気候、風土の中で長い歳月を費やして育まれ、あらゆる面でその性能が実証されている在来工法住宅をあらためて見直すことがもっとも賢明なのではないでしょうか?

出雲大社
法隆寺